インターネットを通じ「本物」の価値と魅力を発信中。

●Interview

信濃ワイン株式会社
取締役会長

塩原博太さん
ユーザー協会長野支部松本地区副会長



長野県を代表するワイン産地塩尻で、100%自社ブランドのワインを製造。
・・・ワイン産地として知られる塩尻にあって、老舗として地域の産業をリードしておられる御社の、ワイン作りへのこだわりをお聞かせください。

大正5年の創業以来、当社では自家農園でのぶどう栽培を継承し、素材から手をかけたワイン作りに取り組んでいます。塩尻は、標高、気候とも、ぶどうの栽培に適しており、ほどよい個性を備えたいいワインができるのです。その環境と、永年にわたり培ってきた製造技術を生かし、現在も桔梗ヶ原の自家農園と契約農園で栽培するぶどうだけを原材料に、丹精込めたワインを製造し、100%自社ブランドとして出荷・販売することをモットーとしています。
もちろん、味・品質にも絶対の自信を持っています。審査が厳しいことで知られる長野県の「原産地呼称制度」にも23品が認定されています。今年度の審査会では、特に「信濃樽熟メルロー」が最高得点を獲得、数ある赤ワインの中から唯一、審査員奨励ワインに推薦されました。奨励ワインが選ばれたのは2回目で、前回も我社の製品でした。
地方の企業だからこそ積極的な情報発信がカギ
・・・その情報を、さっそくホームページで紹介しておられますね。PRや通信販売に、ITを積極的に活用されているようですが。

ユーザー協会の役員を仰せつかっている関係もあり、私はインターネットの時代が来ることを早い時期から確信していました。そこで、平成7年には550万円を投資して本社をIT対応とし、ホームページを立ち上げて、製品や製造理念のPRを展開してきました。双方向のメディアであること、そしてパソコン1台で世界中と取引できるという点で、インターネットは非常に魅力的な情報ツールです。特に、当社のような地方の中小企業にとっては、いながらに製品等をアピールでき、従来型の商売にプラスαを生み出すカギになる、戦略的な武器だと認識していますよ。

・・・中小企業では、経営者の方がITの価値や可能性を理解されないと、企業全体のIT化がスムーズに進みにくいものですが、その点、御社は理想的だったわけですね。

いや、今年80歳を迎える私が、IT推進に関しては社内で一番積極的で、もっとやれ、もっと活用しろと、若い社員の尻を叩いている状態で‥(笑)。製品に自信があるからこそ、それを積極的に発信することが、商売にとって大事なことだというのが、私の信念なのです。国内の酒のマーケットの中でワインのシェアは、わずかに2%程度です。しかも、おしなべて酒が売れない時代となっている今、ワイナリーの経営は、決して順風とは言えません。その上、量販スーパー主体の厳しい価格競争の中で、「本当にいいもの」を消費者にアピールしていくのが、難しくなっているのも事実です。だからこそ広告やインターネットで「いいものはおいしい」のだということや、妥協のない製造姿勢を伝え、差別化をはかっていく必要性を強く感じているのです。
通信インフラが整い、通信料も定額となった今は、技術力や資金に限界がある中小企業でも、IT推進に積極的に取り組むことができます。若い社員たちが、もっとさまざまな可能性に挑戦し、インターネットを使った「プラスα」の創出に力を注いでくれることに期待したいと思っています。
情報発信と体験の融合をインターネットで
・・・ホームページを利用した通信販売や、全国を相手にした顧客取り込みの手応えはいかがでしょうか。

劇的な成果が出ているわけではありませんが、売上は年々確実に伸びています。リピーターが定着してきたのも、うれしい手応えのひとつといえるでしょう。また、お買いあげに応じて特典がある「信濃ワインクラブ」という顧客組織を設けて、全国にファンを増やしていくという点においても、手応えを実感していますね。
昨年から、ぶどう栽培の様子や、桔梗ヶ原周辺の四季の風景などを掲載し、ワイン作りのバックグラウンドを紹介するようにしたところ、うれしい反応を得ています。「本物」を伝えようとする当社の思いが、お客様にも伝わるのでしょう。これは、双方向のメディアであるインターネットならではの手応えですね。お客様が、塩尻という場所の風土や環境、ワインの製造過程などに、大いに関心を寄せていることも、わかりました。


・・・たしかに、興味深い情報ですね。

土曜、日曜や祝日に、県外からの見学者が多く訪れるようになったのも、ホームページの手応えのひとつです。ドライブがてら立ち寄って、ぶどう畑を眺めたり、同乗者が試飲を楽しんだり、買物をしている姿がよく見られます。インターネットで情報を発信し、この地へ来て作り手の思いや味を体感していただく‥そんな新しい施策にも、今後、ますます力を入れていきたいと考えています。当社の商品を売りたいという思いからだけではなく塩尻の地場産業の発展に貢献し、ワインの愛好者をひとりでも増やしていくことにつながる取り組みにもなると確信しています。
有意義な施策の数々にぜひ参加を
・・・ユーザ協会役員としても、永年ご活躍いただいておりますが、協会や会員の皆さんにメッセージをいただけますでしょうか。

最初にお話したように、私はユーザ協会と長い間、関わってきたおかげで、早い時期からインターネットやITの価値や魅力を知って、企業活動に取り入れることができました。
地方の中小企業経営者は、日々の業務に追われがちで、必要に迫られないことには手を出せないのが現実です。しかし、通信やITは今後の事業戦略を考える上で、ますます重要な要素になっていくのは明白です。ユーザ協会が展開するセミナー、電話応対コンクールなどの施策に参加することで、情報やヒントを得ることも多いでしょう。ぜひ多くの経営者の皆さん、社員の皆さんにご参加をいただきたいと思います。
《Profile》
●塩尻、桔梗ヶ原の老舗ワイナリー。
自家農園、契約農園で栽培したぶどうや果実を原材料に、父子三代に受け継がれた独特の手作り製法によるワイン、ジュース、ブランデーなどの限定生産・販売。
国際ワインコンクール受賞等数々
お問い合わせは

http://www.sinanowine.co.jp/
信濃ワイン株式会社
〒399-6462
長野県塩尻市大字洗馬783
TEL:0120‐470010
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