=アイデア勝負、売上の70〜80%がドット受注。
沖縄から北海道までお客様5,000人=

●Interview

麦ばたけ 店長

奥村 昭さん


「競争よりもショップのレベルアップを」
・・・オンラインショップをスタートされた理由と、当時の状況をおしえてください。

1995年年に独立してから、実店舗だけでの販売にはいつか限界があると感じていました。景気も悪くなり、何かしら販路を拡大する手段を模索していましたが、ちょうどパソコンに興味があったことから、オンラインショップの存在を知りました。
1998年の暮れにHPを立ち上げましたが、最初はほとんど注文がありませんでした。また、当時はショップも少なく「何でもある」というより「インターネットでしか買えない特殊な商品」とか「カリスマ店長」のような魅力ある人が前面に出て販促しているページが多かったですね。
まだそれ程普及していないせいか皆さん余裕もあって、有名なショップにメールを出すとHPのノウハウなど色々な情報をくださいました。競争というより「みんなでオンラインショップをレベルアップしよう」という気運がありましたから。現在、逸品ドットコムのオンラインマスターズに入会していますが、メンバーはその頃からのパイオニアが多数いらっしゃいますよ。
「ひとつのきっかけから急激に成長」
・・・いつ頃から売上が伸びたのですか。

1999年の秋口頃ですか「私どものパンが美味しい」とあるメーリングリストに紹介されたことがきっかけで、もう「ドーッ」という感じで(笑)伸びましたね。それはもう急激に。売上の半分がインターネットでの受注となりました。現在では70%〜80%にまで成長しました。
 でも、意外に地元の方がこのような販売方法をしていることを知らない。2年間、来店されるお客様にアンケートを取ってみたのですが当店のHPをご存知なのは5〜6人でした。ですから店頭に発送用の商品が積み上げてあると、県内など近場に送るんだ、と思われている方が多いようです。
現在、登録されているお客様は5,000人程。沖縄から北海道まで、全都道府県にいらっしゃいます。また九州の離島や三宅島から注文が来たこともあります。アクセス数も1日200位になりました。
「マイナスをプラスに転換するアイデア」
・・・商材として難しいと言われるパン販売ですが、反応はいかがですか?

そうですね、パン屋のオンラインショップは本当に少ないですね。これは今でもありますが「焼きたて」を良しとする業界ですから、食べもしないのに否定的なメールを送って来る方もいらっしゃいます。でも食べられた方はほとんど「美味しかった」とか「こんな商品はないのか」など好意的なメールをくださいます。
結局はマイナスと思われることをいかにプラスに転換していくかという「アイデアが重要」です。よく考えれば、夕方お買い物で購入したパンはたいてい翌朝食べますよね。それなら夕方に焼かれ、しかも翌日も美味しく食べられるように工夫したパンが早朝自宅に届くのはいいでしょう。
私は最初にセレクトした商品に、敢えてどこでも買える「食パン」を入れました。自信があったし「これがダメならしょうがない」という覚悟もありました。でも思いの外「美味しい」と反響があって嬉しかったです。辛辣なご意見もありますが、メールだと店頭で交わす言葉よりも深い内容を知ることができる。その情報がまた新商品に反映できますし、女性誌なども参考にしてお客様の望む商品を開発してきました。
「恐いのは本職でない人」
・・・最近の注目ショップは?

同業者なのですが、食パンを3,000円以上で売っているんです!それは「本当に自分が食べたいパンを作ったらこの値段になった」とPRしています。実店舗ならとても売れないでしょうが、HPなら経営が成り立ちますよね。これもマイナスをプラスに変える、アイデアのひとつでしょう。
さらに若い方や脱サラされた方など、その分野の本職でなかった人も多く参加しています。そのようなショップはHPをご覧になる人に近い視点でモノをとらえ、大胆な販売をされるから驚異ですよ。
「老舗も個人も関係ない」
・・・今後の展望やショップ開設を目指す方へアドバイスをお願いします。

今後はメールマガジンを主体にしていこうと考えています。1回打つと5〜6%の方が購入してくださいますから。HPは初めて当店をご覧になる方や商品の説明などカタログ的に、また、携帯からの発注やe銀行での決済など、それぞれの機能を生かして購入から支払いまで簡単に完結できるように構築したいですね。
ショップを持たれたい方は、取り敢えず「様々なショップから買ってみる」といいですよ。どのような対応か、HPのデザイン、使い勝手など参考になります。あとはどれくらい売りたいか、どこまで設備や人材を拡張できるか、運営資金はいくらか、などの計画が必要です。急激に売れて対応ができなくなり閉店した残念なショップもありますから。
実店舗を持っていられる方ならすぐできると思います。店頭に季節の花を飾ってきれいにすることと、トップページをきれいにリニューアルすることは同じでしょう。また、オンラインショッピングは、老舗も個人商店も関係ない、同じ土俵で勝負できますからね。特に私のように競合が少なければチャンスはありますから、どんどんチャレンジしてください。



《Profile》
麦ばたけは1988年1月に、菓子屋のパン部門としてオープン。1995年に奥村店長が独立し、新生「麦ばたけ」としてスタートした。
http://www.mugibatake.co.jp/
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