ITがニーズと商品を的確に結ぶ
フジカーランド上田

お客様の多様なニーズと当社が提供できる商品やサービスを的確に結ぶツールとして、インターネットの活用価値は無限大です。

●Interview
株式会社フジカーランド上田
代表取締役社長

羽田 憲史さん




「光」の活用でビジネスに大きな変化
・・・上田市が「光」の提供エリアになると同時に、御社ではBフレッツを導入されたそうですね。

 ええ、3年ほど前になりますか。それ以前からISDN回線でインターネットは活用していましたが、速度的にも容量的にも限界を感じていまして、「光」の登場を待ちかねていたのです。

・・・中古車業界というのは、早くからIT活用が積極的な業界なのだとか。

 そうです。一般的に中古車は全国各地で開催されるオークションで専門業者を対象に取引されるため、我々のような関係者は常に各地のオークション情報や出品される中古車の情報にアンテナを張っています。そのため日本にインターネットが普及した直後くらいから、パソコンと電話回線を利用した全国規模での情報発信が積極的に行われるようになりました。またインターネットとは別に、宇宙衛星と手元の端末を結んでオークションを行う企業も現れるなど、きわめて柔軟にIT活用に取り組む業界風土があったように思います。
 とはいえ、アナログ回線では中古車情報を下調べするのがやっと。実際の買い付けは、各地のオークション会場へ出向いて紙に記された相場データや車情報と照らし合わせながらおこなうのが定石でした。「光」の出現で、ITは飛躍的にビジネスに活用できるツールとなりました。

・・・どう変わったのでしょうか。

 まず、全国の中古車市場の膨大な情報を瞬時に見比べられるようになりました。車種や年数による相場も正確に把握でき、しかもその情報を当社の全拠点、全社員が同時に共有できるわけです。さらに最近は画像の精度も高まりましたから、現地へ出向かなくても実車の状況がわかります。以前だと、複数の会場へ足を運んで実車を確認したうえで買い付けを決断したものですが、その手間がなくなりました。昨今はインターネットで業者間の競りに参加できるシステムも整い、居ながらにこちらの要望通りの商品を仕入れることができるようになったのです。
加えて、仕入れ可能な中古車の情報や画像を、店頭でお客様にお見せしてご確認いただける。現車がここになくても、その場で商談が成立するケースは、いまや少なくありません。買取価格の決定も、全国の相場をリアルタイムでにらみながら、ギリギリの線で決めることができるので、お客様も納得して売買に臨んでくださいますね。

ITと人間力のバランスが信頼される取引につながる
・・・中古車の売買スタイルは、ITによって大きく変わったわけですね。

 しかしその一方で、ITで効率化を進めれば進めるほど、「接客力」の大切さが見えてきたのです。
かつて中古車は「一物一価」といわれ「商品力」さえあれば商売ができました。ですからコストパフォーマンスのいい、質の高い中古車を仕入れることが、我々の最優先課題でした。当社は豊富な経験から、いい中古車を選択する目と確実に仕入れるノウハウには以前から自信を持っていました。インターネットはそれをさらに後押しする強力なツールです。しかし、どんなにいい商品に出会えても商品だけではお客様は満足されません。お客様は、応対する私たちの態度やサービスによって安心感をお持ちになり、自分が選んだ中古車への信頼や愛着を高めていくのです。ひいては、それが私たち自身の仕事の充実感につながっていく。そこで、この数年はIT活用と平行して「接客力」「人間力」の向上に全社的に取り組んできました。

・・・ホームページで「お客様の声」をご紹介になっていますが、満足度の高い感想が多く、取り組みの成果が現れているようにお見受けします。

 ありがとうございます。お客様から寄せられるアンケート葉書などにも手応えを感じています。最近は女性のお客様が増え、カップルやファミリーで来店される方が多くなったのも、成果のひとつと喜んでいます。「IT」と「人間力」のバランスは、業界を問わず今後のビジネスの鍵になるのではないでしょうか。
たゆまぬ情報収集で目的に即したIT活用を
・・・御社ではインターネットのほかにも「光」をさまざまにご活用ですね。

 本社社屋の建て替えタイミングに合わせて「光」を導入することにしたため、それまで考えていた「こうしたい」を、無理なく実現することができました。
 当社は車に関する幅広いサービスを展開しており、上田市内に業態の異なる複数の店舗が点在します。「ひかり電話」の導入により、各拠点間の通話が無料になったため、大幅なコスト削減が実現しました。
 また、それまでバラバラだった顧客情報や販売・売り上げ管理情報を一元管理し、各拠点で共有できるようにしたため、事務作業の効率が飛躍的に高まりました。これはお客様へのサービス向上にもつながっています。
 さらに、webカメラの設置により、広大な展示場内の様子や、遠隔にある板金工場の進行状況などをリアルタイムで確認できるようになりました。便利なだけでなく、お客様への素早い対応に役立っていますし、防犯上の効果も見逃せません。設置に巨額の設備投資を要しない点も、webカメラの利点ですね。

・・・そうした多彩で柔軟な発想の源は何でしょうか。

業種を問わずいろんな方々と積極的に情報交換することが、何より役立っていると感じますね。ユーザ協会さんから送られてくる『テレコムフォーラム』や、この『ハロートーク』に紹介されている事例も大いに参考になります。目からウロコの事例もけっこう多く、感心しながら真似をさせていただくこともありますよ。
 当社でこれから実現させたいと考えているのが、携帯電話のメールを活用した個対応の顧客サービスです。車検・整備・オイル交換等のご案内、保険更新のお知らせ、お誕生日のお祝い、イベントの案内などを通じて、お客様とよりよい関係を築いていくのに役立てたいですね。
 私は今年5月に新社長に就任したのですが、その際、「お客様と社員が、ともにハッピーな会社でありたい」ということを、当社のミッションのひとつに掲げました。CS課も設置しましたが、今後、ITを活用したサービスが、その実現に大いに役立ってくれると信じています。

・・・最後に、ユーザー協会の会員の皆さんにメッセージをお願いいたします。

ITの導入は、その使いこなし方次第で、事業の進め方やサービスの内容を大きく変化させると思います。積極的な設備投資をしにくい時代ですが、十分に使いこなせれば、決して高い投資ではないはずです。しかし、よくわからないままに不必要な機能や使いこなせないシステムを導入してしまうと、結果的に無駄になってしまう。大事なのは、自分の会社が何をしたいのか、会社にとって必要なことは何なのかを事前によく検討し、導入にも運用にも明確な目的意識を持って望むことではないでしょうか。
《Profile》
●株式会社フジカーランド上田
昭和39年、現会長の羽田直巳氏が創業。中古車の販売・買取を中心に新車販売、自動車の車検・整備・修理・保険・リース等を取り扱う。中古車の売買情報やお客様の声を掲載したwebサイトの運用をはじめ、中古車オークションでの買い付け、相場をチェック、ひかり電話、顧客情報の一元管理、webカメラによる展示場監視などITを幅広く活用し、成果を上げている。
http://www.fujicar-net.co.jp/
〒386-0014
長野県上田市古里150-1
TEL/0268-22-8000
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