地方のICT戦略23
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この不況の中、気持ち良いほど右肩上がりの企業がある。住宅メーカーの株式会社イシカワだ。
「安くて高品質な家」を提供し続け、着工数はグループで県内1位、売上高・利益とともに今期は2割アップとなった。トップを走る企業はどのような思想でICTを使っているのだろう。
株式会社イシカワ

株式会社イシカワ
●Interview
株式会社イシカワ
取締役副社長(写真左:社員旅行・沖縄支店前にて)
片桐 奈保美さん



企業が一丸となって頑張るには
社長が社員の話を聴かなくては!

・・・「インターネットを経由したテレビ電話での会議」を昨年から導入されましたが、そのきっかけは?

 当社周辺の光ケーブルの敷設に伴いすぐに導入しました。現在当社は、北海道から沖縄まで全国に35の拠点があります(平成22年3月現在)。支店数が少ない頃は、近隣・遠方にかかわらず毎週、社長が支店に出向き、社員と一体で仕事に向き合ってきましたが、支店拡大を進めてきた結果、支店全てに出向くことが大変難しい状況になりました。電話だけでも良いのかもしれませんが、やはり、言葉だけでは通じないものがある。顔が見えた方がコミュニケーションは取れますし、会議をしながら「図面のここを見て」というのもすぐ伝わりますから、声だけより話も早いのです。各支店に設置した専用のパソコンを利用した会議のおかげで、社長の支店出張の回数を減らすことができました。それでも、年間を通じて定期的に遠い支店へも社長は必ず実際に出かけていますが。
  お蔭様で当社の売上げは毎年伸びていますが、売れるノウハウなんてそんなに無く、ただ一生懸命やるだけです。大手企業に勝つ秘訣は、いかに社員みんなで頑張るか、そのためにも社長は社員の話を聴かないといけません。それは、とても大切な仕事です。

・・・「フレッツ・グループアクセス」も導入されましたが、どのようにお使いですか?

 当社では契約から引き渡しまで、各工程 を細分化した工程表で管理しています。例 えば、着工前に施主様の近隣の皆様へご挨 拶に伺ったか、銀行や行政への確認・申請 は済んでいるかなどの各物件の進捗状況 が、「フレッツ・グループアクセス」を利用す ることによって、遠く離れたパソコン上でも 一目瞭然でわかります。もちろん各支店内 でもチェックしますが、最終的な確認はす べて責任のある立場の者が行い、問題点が あれば直接アドバイスをします。私たちに は工程の一つだとしてもお客様にとって『家 はご自身のすべて』ですから、絶対に怠って はいけません。
  住宅は契約から引き渡しまで、どんな に早くても3ヶ月かかる商品です。一年に 500棟建築すると、着工前や家が完成 した後の手直しなど年間を通じて、常に 300棟の膨大なデータ管理が必要になり ますが、各支店と簡単に共有できるので便 利ですね。

お客様に還元するために、
徹底的にコストダウン!

・・・「ひかり電話(光IP電話)」も導入されましたが、どのようなメリットが?また、今回インフラを整備して、総合的にどのような効果がありましたか?

 ひかり電話は、電話料削減に直結しまし た。支店環境を考えて、フレッツ光回線と従 来の回線を使った場合を徹底的に検証して ベストマッチを選びました。
 テレビ電話(インターネット経由)を利 用した会議は、当たり前ですが出張費が削 減できました。設置費用も1年で回収できそうで、とても満足しています。また、テレ ビ電話(インターネット経由)なら、問題 点を会議予定までのスケジュールを待た ずに、思いついた時点ですぐに話し合える。 そういう点でも便利になりました。使い始 めると本当に止められない。文明ってそう いうものですよね(笑)。昔は電話が鳴った らベルを3回待って取りました。それがマ ナーとされていた。でも今はそれすら惜し く「待たせるな!」という方もいらっしゃ る。とにかく人も機械もスピードが速くな りました。
 テレビ電話(インターネット経由)によっ て支店間の情報交換も活発になりました。 全体会議を開いて報告し合いますが、どん なに注意しても落とし穴のような事例もあ ります。先日も着工前の近隣へのご挨拶で 空き家と思われる家がありお訪ねしなかっ たのですが、実は長く留守をされていただ けで、クレームに発展してしまいました。こ のようなクレームはすべて施主様にご迷惑 をおかけするので、本当に細心の注意が必 要です。しかし、事例を全店で共有できれ ば、注意を促せますし、その場で未然に防ぐ 対策も考えられます。


現場の意識向上の手段として
携帯メールを活用

・・・他にはどのようなケースでICTを活用 されていますか?

 すべての現場に携帯電話を常設して、その日の工事が終わったら必ず写真を撮って 映像で報告する仕組みを試みました。工事 中でも施主様の家ということに変わりはあ りません。当たり前ですが煙草やゴミを床 下や天井に捨てたままにするのは、当社に おいて厳禁。さらに施主様が現場にいらっ しゃった時にスリッパを履かなくても歩け るくらいきれいにしています。1日に掃除 を5回して、その度に大工さんからメール で写真を送っていただいていますから。
  これらは、現場管理のコストダウンとい う目的ではなく、『現場の意識向上』のため に行っています。昔は面倒くさがっていた 大工さんも、近年ではみな率先してメールをくださり、掃除だけでなく現場に花を活 けてくださる大工さんまでいらっしゃいま す(笑)。お蔭様で当社の現場は新潟一きれ い!と自負しています。また社内専用ネッ トワークを活用して社内報を発行していま す。社員の交流に一役買っているようです ね。

・・・それでは、最後に今後の抱負をお聞かせ ください。

 商売は常に動いていますから、それに伴 い環境も改善しないといけません。コスト ダウンによってお客様に還元でき「イシカ ワを選んでよかった」と言われるように・・・。 当社はまだ二流の企業ですから、逆に一流 のサービスをしていかないと生き残れない と考えています。建てた時から施主様とお 付き合いが始まりますが、その家をメンテ ナンスしていくためにも私たちは生き残ら なければいけません。また、お客様はもちろ んですが、働く人のためにも今後も楽しい 職場であるよう努力したいと思います。


《Profile》
●イシカワグループ
事業内容/民間建築工事、住宅事業、不動産業
創業/1947年 
本社/新潟県新潟市秋葉区 大蔵738ー1 
代表取締役/石川幸夫
(株)イシカワ・(株)ステーツ・(株)不動産情報 社の3社で構成され、緊密な連携によって一貫した サービス体制を整えている。石川社長と片桐副社長 はご兄妹。大きな苦労を背負いながら、二人三脚 で会社を発展させてきた。
http://www.kk-ishikawa.com/

 

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