−新潟市内のIT先駆者といえばアークベルグループ。社内管理、お客様へのサービス、携帯電話での活用のほか、eラーニング、テレビ会議実用化への検討など、まさにITの本領を発揮させている−

●Interview
柏株式会社アークベル (写真右から)
感動美仕事研究所

後藤 淳治さん
電算室長
田中 一也さん
中人事総務部総務課長/秘書課長
松尾 哲郎さん


お客様のお金を預かる立場としては「信頼がサービス」である
・・・専用回線時代から事業所間でデータ交換を始めた先駆者でありますが、
   IT導入のきっかけは何だったのでしょう?

田中さん/20年ほど前になりますか。当社は新潟県(上越地方を除く)と山形県(庄内地方)に施設と支社・営業所があります。ですから情報伝達の手法として、その都度走ったり、電話したりするよりは、データで情報をやり取りした方が速いし、正確だったのです。
松尾さん/利用し始めた分野は互助会会員様の管理が最初です。利用以前は台帳があって、月末に一回集計したものを頼りにお客様の対応をしていました。しかし、入出金などは日々状態が変わります。何回分いただいたか、いくらお使いになったか、住所が変更になったとか、お客様も全ての内容を憶えているわけではなく、様々な問い合わせがあります。それがリアルタイムで情報共有することで、お問い合わせに対し即時にお答えできるようになりました。私たちはお金をお預かりしている立場ですから「信頼がサービス」です。IT活用はそこから派生して様々な分野へ広がりました。
田中さん/当社は冠婚葬祭にまつわる仕事がメインですが、例えば一生のうちに何度もご自分の結婚式をされる方は稀なわけです。ですからそのお客様が、ご家族を含めライフサイクルを通した長い時間の中で、繰り返し当社をご利用いただければ良いなと思います。そういった営業活動にITを使うのも今後の課題だと思います。

HPやブログの活用でさらに魅力的な広告と提案を
・・・HPからの問い合わせも多いですか?

後藤さん/多いですね。資料請求や来館のきっかけの大きな要因になっています。アクセス解析をしてみると結婚式場でいえば、フェアやトピックス、また実際に式を挙げられたお客様のレポートが注目されています。紙媒体では紙面も限られているのでハード中心の情報提供となりますが、HPでは加えて、「ここではこのような結婚式ができます」といったソフト面の訴求を考え構成しています。動画も利用できるので雰囲気を伝えやすいですね。また、ウエディングドレスなど衣装へのアクセスが高いので現在リニューアル中です。
田中さん/HPをご覧になって、さらに興味を持っていただきたい。いかにビジュアルで印象づけるかでしょうね。
後藤さん/また、年配のお客様はHPをご覧にならない人も多いので当社の広報誌『アークベルプレス』などに情報を掲載しています。訴求する対象や情報内容によっては媒体の使い分けも考えないといけませんね。
ーHPメンテナンスはどのように?
後藤さん/それは各式場に任せています。最新情報は現場が一番先に知っていますしね。また、同じグループ内でも結婚式場や衣装部門同士がライバルというか、対抗意識を持っています。ですから式場や店舗ごとに個性を出そうと独自のアイディアが活発に生まれています。逆をいえば本社に現場の情報がリアルタイムに集まってくるので交通整理がたいへんですけれど(笑)。
ーブログも活用されているそうですね。
後藤さん/社内webにプランナーが『今日はこのような結婚式がありました」とアップしています。「こんな演出をしたらお客様から喜ばれました」などといった内容ですが、簡単に閲覧できるので各結婚式場で提案のヒントになっているようです。

現場の声を聞きながらアークベルらしいIT環境を構築
・・・御社では、社員の皆さんが様々な資格を取得されていますが、この分野への活用はお考えですか?

松尾さん/そうですね。当社は資格制度に重きを置いていますし、社内検定など独自の基準も設けています。今後は更にeラーニングを社員教育に取り入れようと検討を始めています。しかしクリアしなければならない項目も多々あります。社員へのコンピュータの割り当て、研修時間の問題、どのような内容でどの時点で基準達成とするか、本当に成果が上がるのかなどをサンプリングしている状態です。でも型通りの枠にはめるようなシステムでは社員も使いにくいので、アークベルらしいeラーニングを構築したいですね。

・・・他にどのような活用をされていますか?

田中さん/衣装の管理ですね。ICタグを付けようという話もあったのですが、結局バーコードを携帯端末で読み込んで、予約状況をお客様にお知らせしています。また、選んでいただいた後に『やはりこちらの衣装に変えました」という履歴も残しています。「最終的に何が選ばれた」という結果だけでなく、「どのような過程で選ばれた」というデータを検証することで『お客様の志向」がわかるようになりました。このデータから、よりお客様が望まれる衣装を仕入れることができます。

・・・携帯電話も活用されているそうですが?

後藤さん/当社はアークベルカードを発行しており、その数は10万枚に達しました。これが利用できる店舗が約800店ほどあり、提携店のサービス内容が全て携帯電話から閲覧できるようになっています。宿泊、生活、車、美容、趣味、飲食、学校など様々なシーンでお使いになれます。


カード提携店は県内外に800店

・・・今後はどのような分野にIT活用をお考えですか?

田中さん/やはり社内の業務改善ですね。役員のテレビ会議なども以前から議論しています。これも今後の検討材料です。

・・・それでは最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

田中さん/現在のIT環境は、現場の声を聞きながら作り上げたものもあるし、ヒアリングしきれず「何とかこれで」と現場にお願いしたこともあります。しかし、みんなで頑張って、何とか使おうとしたのです。「使えないからだめだ」と放っておいたら本当に使えなくなります。
松尾さん/社内の管理システム変更に対応するのは日々の業務上必然なのです。もちろん使い勝手が良い方がいいですが、多少難があったとしてもやらざるを得ない。それでやってみて現場の声を吸い上げ、ある時期に改良する。またHPのようにすぐ現場の声が反映できるものは、ストレートに出していくなど、一括りにITといっても分野ごとの手法が必要だと思います。

県下最大級1,000人規模の葬儀が可能な「セレモニーホール新潟」本社機能も兼ね備えている。

HPは定期的にリニューアルを行っている。

《Profile》
●株式会社アークベル
昭和33年6月17日創業。業務内容は、結婚式場、葬祭式場の運営を軸に、衣装レンタル、各種セレモニーの企画・開発及びサービス施行など。新潟市の本社をはじめ、新潟と山形県内に支社・営業所を持つ。結婚式場11施設、葬祭式場40施設、ビアンベール(衣装レンタル)19施設あり、社員数約1,000人。その規模、質ともに新潟県を代表する冠婚葬祭業の老舗である。
http://www.arkbell.net/
〒950-0912
新潟県新潟市中央区南笹口2-7-20
TEL:025-247-6111(代表)
copyright(c)2003JapanTelecomUsersAssosiationNagano